さらば頑徹
会社から一番近いラーメン屋が閉店してしまった。
その名も「頑徹」。
数年前からお昼の営業を取りやめてしまい、今は夜のみの営業になっていたが、まさかこんなタイミングで店を閉めるとは思わなかった。
中野はラーメン激戦区であるので、会社の人たちに言わせると「頑徹よりうまい店はいくらでもある」のだそうだ。だからあまり声高には言えなかったのだが、やはりここの四川タンタンメンはうまい。
なぜだか自分でもよくわからいのだけれど、いつからか頑徹で四川タンタンメン以外のメニューを頼めなくなってしまったのだった。僕の味覚にマッチしていたというべきなのか、としたら僕の味覚はおかしいのか。ともかくスープの風味、辛さ、たくさんのネギ、やや固めの麺、そしてカラッと炒まった挽肉。どれもが完璧なバランスの上に成り立っているように僕には思えたのだった。
惜別の念からか、つい大げさな表現に終始してしまう。
まぁ、しかし、閉めてしまうものを止めることはできない。
これだけ四川タンタンメンに情熱を注いできた者として、せめて今後のことくらいは聞いておかねばと思い、理由を尋ねてみると、若いバイトのあんちゃんが一言、、「そうっすね。ここの本家はラーメン三宿って言うんすけど、今後はそちらに力を入れていくことになりました」とのこと。
とてもちょっとやそっとでは退きそうにない頑固一徹な店名のイメージを、見事に覆す軽い返答であった。
モヤモヤさまあずを見ているような中途半端な気持ちに陥りながら、少し季節の進んだ冷たい空気を感じつつ、珍しく客の並んでいる頑徹を後にしたのだった。
ちなみに「ラーメン三宿」は高田馬場と中目黒にあるらしい・・・。
不思議とそこまでまた今度食べに行こうという気持ちにはならなかった。
やはり「会社から一番近いから」だったのだろうか。







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